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トックの種類15選|韓国のもちを味と食感・作り方から知る

Editor:
トックの種類を見比べる、色の層が重なるムジゲトクと丸いキョンダンの盛り合わせ

韓国以外では、多くの人が知っているトック(떡、韓国のもち)は、トッポギ(떡볶이、トックをたれで煮た料理)に入った、たれをたっぷり吸ったもちもちの棒状のもの一種類だけです。けれども、それは広いトックの世界のほんの入り口にすぎません。赤ちゃんの初誕生日に供える蒸し菓子、結婚式で分け合うつきもち、春の行楽で楽しむ花をのせた繊細な菓子まで、トックは韓国料理のなかでもとりわけ種類が豊富で、文化的な意味の深い食べ物です。二千年以上前の三国時代(紀元前57年〜668年)にさかのぼる歴史をもち、韓国の暮らしのほぼあらゆる節目に登場してきました。アジア・ソサエティによるトックの種類の紹介(英語)が伝えるように、それぞれの種類には異なる製法の伝統と、文化のなかでの役割があります。

トックの種類のひとつ、焼き目のついた棒状のカレトクをはちみつの入った小鉢につけるところ。木の板にのせている

この記事では、知っておきたいトックの種類15選を伝統的な製法ごとに紹介します。韓国の市場でも、祝いの食卓でも、ソウルのデザートカフェでも、迷わず選べるようになるための案内です。トックは、もっと広い甘味の世界の一角でもあります。韓国の伝統デザートのガイドもあわせてご覧ください。韓国料理に初めて触れる方も、すでに食材としてのトック(英語)を知っている方も、その多様さを感じられるはずです。日本のもちや中国の年糕との違いを含め、文化的な背景を詳しく知りたい方には、トックの文化を知る総合ガイドがあります。

目次

  • 蒸すトック|韓国のもちの基本となる作り方
  • つくトック|手間をかけて生まれる弾力
  • ゆでるトック|彩り豊かなひと口の菓子
  • 焼くトック|季節の美しさを楽しむ
  • 甘い菓子だけではない、食事で楽しむトック
  • トックの種類はどのように分けられるのか
  • トックはどこで買えるのか
  • トックの種類についてよくある質問
  • トック15種類の早見表

蒸すトック|韓国のもちの基本となる作り方

シルと呼ばれる韓国の蒸し器に入った、小豆をのせた白いトックと、隣のピンク色の皿に取り分けた湯気の立つトックのイラスト

蒸すトック(찌는 떡)は、韓国のトックのなかでも最も古く、広く作られているものです。米粉を重ねたり形を整えたりして、シル(시루、トックを蒸す器)で蒸します。使う米の種類や加える材料によって、ふんわりしたケーキのようなものから、密度が高くもちもちしたものまで、さまざまな食感に仕上がります。

1. ペクソルギ|雪のように白い蒸しトック

青緑色の幾何学模様の皿にのせた白いペクソルギ。上に赤い花の飾りがある

ペクソルギ(백설기、蒸した白いトック)の名前は、直訳すると「白い雪の菓子」です。その名のとおり、細かくひいたメプサル(멥쌀、うるち米)の粉に砂糖と塩ひとつまみを加えて蒸した、やわらかくふんわりしたトックです。真っ白な色は清らかさと無垢を表し、ペギル(백일、生後100日の祝い)の中心に、何世代にもわたって置かれてきました。トルジャンチ(돌잔치、赤ちゃんの1歳の誕生祝い)でも、健やかで曇りのない未来を願って家族が用意します。

外国の人が最初に出会うことの多い弾力のあるトックとは違い、ペクソルギはほろりと崩れるケーキのような食感で、舌の上でやさしくほどけます。今ではドライフルーツやナッツ、チーズを混ぜることもありますが、文化的に最も大切にされているのは、昔ながらの何も加えないものです。

なつめと松の実の花飾りをのせた白いペクソルギを、赤い祝いの盆に盛ったところ。奥に松の枝が見える

味と食感:穏やかな甘みと澄んだ米の味。やわらかく、少しほろほろしています。食べる場面:生後100日の祝い、初誕生日、先祖をまつる儀礼。

2. シルトク|小豆を層に重ねたトック

白い米粉の層と赤茶色の小豆の層が交互に重なる丸いシルトク。白い皿にのせ、切り分けた部分から断面が見える

シルトク(시루떡、小豆を層にした蒸しトック)は、蒸すときに使うシルにちなんだ名前です。米粉と、甘くしたパッ(팥、小豆)のあんを交互に重ねて作ります。切り分けると、赤茶色の小豆と白い米の美しい層が現れます。韓国の文化では、小豆は邪気や悪い気を払うと信じられてきました。そのためシルトクは、結婚式や新居祝いで大切な役割を担います。

切り分けたシルトク。白くやわらかなトックに、粒の残る甘い小豆を厚くのせている

小豆の穏やかな甘みと土を思わせる風味は、淡泊な米粉によくなじみます。韓国の甘味に慣れていない人にも親しみやすい、バランスのよい味わいです。食感は、ペクソルギのやわらかさと、ついたトックの弾力の中間くらいです。

味と食感:素朴で甘い小豆と、穏やかな味のトックが層になっています。食べる場面:結婚式(邪気を払うとされます)、新居祝い、祝祭日。

3. ソンピョン|チュソクに味わう半月形のトック

紫、黄色、白、緑のソンピョンを濃い色の皿に並べ、茶と松ぼっくりを添えたところ

韓国の家族のつながりを象徴するトックを挙げるなら、ソンピョン(송편、半月形のトック)でしょう。小さな半月形のこのもちは、チュソク(추석、秋の収穫の節句)を代表する食べ物です。家族はその前夜に集まり、一緒にソンピョンを作ります。食べることと同じくらい、作る時間にも意味があります。中にはごまとはちみつ、甘くした小豆、栗などを詰め、香りのよい松葉の上で蒸します。ほのかな森の香りを添える松葉は、名前の由来でもあります。韓国語のソン(송、松)という言葉が、その名に含まれています。

白、緑、黄色、紫、ピンクのソンピョンを、細長い白い皿に並べたところ。背景は秋のしつらえ

半月形にも意味があります。満月へと満ちていく途中の月が、希望と繁栄を表すのです。地域による違いも豊かで、ソウルにはオセクソンピョン(오색송편、五色のソンピョン)、江原道にはじゃがいものソンピョン、忠清地方にはかぼちゃの形のソンピョンがあります。伝統を詳しく知り、家でも作ってみたい方は、ソンピョンのレシピ(英語)をご覧ください。

味と食感:中身のほのかな甘みと繊細な松葉の香り。しっかりした歯ごたえがありながら、やわらかさもあります。食べる場面:チュソク、家族の集まり。

4. ムジゲトク|虹色の層が重なるトック

ピンク、緑、黒ごま、白、黄色の層が重なるムジゲトク。白い皿のまわりに花とぶどうを添えている

ムジゲトク(무지개떡、虹色の層を重ねたトック)の「ムジゲ」は虹という意味で、名前どおりの鮮やかなトックです。米粉に天然の色をつけ、緑にはよもぎ、黄色にはくちなし、ピンクにはオミジャ(오미자、五味子)の実、灰色には黒ごまを使います。それぞれを同じシルに重ねて蒸すと、切った断面に美しい色の層が現れます。トル(돌、1歳の誕生祝い)、ファンガプ(환갑、60歳の祝い)、結婚式などで好まれる華やかさです。

伝統的には、それぞれの色が韓国の宇宙観における五つの方位と、青・緑、赤、黄、白、黒の五色に対応します。祝いのトックが、調和や均衡という考え方にもつながっているのです。食感はペクソルギに似て、やわらかく少しほろほろしていますが、見た目にはずっと強い印象を残します。

切り分けたムジゲトクと、色とりどりの丸いキョンダンを陶器の皿に盛ったところ。ムジゲトクには緑、ピンク、黄色、白の層が見える

味と食感:穏やかな甘みのなかに、天然の色づけに使う植物の香りがほのかに感じられます。食べる場面:誕生日、結婚式、宴席、そのほか祝いの席。

5. チュンピョン|発酵させて作るトック

白とピンクの丸くふくらんだチュンピョンを四角い陶器の皿に並べたところ。背景に緑の葉がある

チュンピョン(증편、発酵させて蒸すトック)は、発酵の工程がある点で、トックの種類のなかでも独特な存在です。米粉の生地にマッコリ(막걸리、韓国の濁り酒)を混ぜ、ふくらませてから蒸します。小さな気泡を含む軽くふんわりした仕上がりは、密度の高いトックより蒸しパンに近いものです。発酵によって、心地よいほのかな酸味も加わります。

白、きつね色、ピンクのチュンピョンを大皿や小さな器に盛り、箸を添えたところ

発酵には暖かさが必要なため、昔から気温の高い季節と結びつき、夏によく食べられてきました。伝統的なものには飾り模様を押したり、表面に松の実やなつめをのせたりすることがあります。かすかな酸味が、チュンピョンをトックのなかでも珍しく、さっぱりした味わいにしています。

味と食感:軽い甘みに、発酵による穏やかな酸味。ふんわりとやわらかです。食べる場面:夏、寺への供え物、祝いの席。


つくトック|手間をかけて生まれる弾力

つくトック(치는 떡)ならではの、引きあめのようによく伸びる弾力は、もちをつく工程から生まれます。炊いた米、主にもち米を石臼に入れ、重い木の杵で、なめらかでよく伸びる塊になるまでつきます。手間のかかるこの製法から、韓国で特に親しまれ、文化的にも大切にされるトックが生まれています。

6. インジョルミ|きな粉をまぶしたトック

トッチプの売り場に積まれた、炒った大豆の粉をたっぷりまぶしたひと口大のインジョルミ

インジョルミ(인절미、きな粉をまぶしたもち)は、つくトックを代表する存在といえるでしょう。チャプサル(찹쌀、もち米)(英語)を蒸して、強い弾力が出るまでつき、小さな長方形に切ります。そこにコンカル(콩가루、炒った大豆の粉)をたっぷりまぶすと、口に入れるたび、温かみのある香ばしい甘さが広がります。

きな粉をまぶしたインジョルミを素朴な陶器の鉢に盛り、木の台に茶器と並べたところ

インジョルミには、人と人との結びつきを表す意味もあります。粘りの強い食感は、社会のまとまりや絆の象徴です。結婚式や新居祝いで出されるのは、新郎新婦や新しい隣人が、地域としっかり結びついてほしいという願いからです。儀礼の場だけでなく、毎日のおやつとしても愛され、今ではカフェで人気の食材にもなっています。インジョルミのラテや、ピンス(빙수、韓国のかき氷)は、ソウルの現代的なデザートの定番です。

味と食感:もちもちした米の穏やかな甘みと、炒った大豆の香ばしさ。食べる場面:結婚式、新居祝い、日々のおやつ、カフェのデザート。

7. カレトク|細長い円筒形のトック

木のまな板に置いたカレトクと、薄い楕円形に切ったトック。奥のかごにも切ったトックが入っている

カレトク(가래떡、細長い円筒形の白いトック)は、世界で最もよく知られる韓国のトックです。韓国を代表する二つの料理、辛いトッポギ(英語)トックク(떡국、トック入りのスープ)(英語)に使われているからです。うるち米を蒸してつき、長くなめらかな円筒形にしたカレトクは、幅広く使えます。厚めに切ればトッポギ用のトックに、薄い楕円形に切れば、新年のスープに浮かぶ硬貨のような形になります。

串に刺したカレトクを炭火で焼き、表面にきつね色の焼き目がついたところ

米で作るトッポギ用トックの食材ガイド(英語)では、その密度の高いもちもちした食感と、たれをゆっくり吸って深い味になる性質を紹介しています。カレトクそのものは淡泊なので、辛いコチュジャン(고추장、韓国の甘辛い発酵調味料)のたれから繊細なしょうゆ味まで、韓国の豊かな味つけを受け止められます。太いカレトクを炭火で焼き、チョチョン(조청、韓国の穀物あめ)やはちみつにつけて食べるのも、昔から変わらない素朴な楽しみです。

味と食感:淡泊な米の味と、密度の高いもちもち感。合わせるものの味がよくしみ込みます。食べる場面:トッポギでは一年を通じて、トッククではソルラル(설날、韓国の旧正月)。

8. チョルピョン|型で模様をつけたトック

伝統的な型の筋模様がついた白とよもぎ色のチョルピョンを交互に並べ、よもぎの葉を添えたところ

チョルピョン(절편、型で模様をつけたトック)は、ついたあとの仕上げがインジョルミやカレトクとは違います。ついた生地を平らにし、彫刻を施した木型で、細かな伝統模様を押すのです。花や幾何学、自然を題材にした模様によって、食べられる工芸品のようになります。表面には通常ごま油を塗り、くっつくのを防ぐとともに、ほのかな香ばしさを添えます。

花模様を押した白と緑のチョルピョンを、木の長方形の皿に並べたところ

チョルピョンは茶の文化や改まった席と深く結びついています。韓国の伝統的な結婚式や茶礼では、韓国の緑茶や果実のお茶とともに出され、その端正な姿が上品な雰囲気を作ります。なめらかで程よい弾力があり、インジョルミほどは伸びませんが、見た目はより洗練されています。

味と食感:澄んだ米の味に、ごま油の軽い香り。なめらかで、程よい弾力があります。食べる場面:茶礼、結婚式、改まった祝いの席。


ゆでるトック|彩り豊かなひと口の菓子

ゆでるトック(삶는 떡)は、ひと口大に丸めた生地を湯でゆで、色とりどりの粉などをまとわせたトックです。蒸すものやつくものほど多くありませんが、独特の魅力で親しまれる種類があります。

9. キョンダン|色とりどりの衣をまとった丸いトック

緑、黄色、ごま、黒ごま、小豆の衣をまとったキョンダンを、彩り豊かに並べたところ

キョンダン(경단、ゆでて粉などをまぶす丸いトック)は、もち米の粉の生地を手で小さく丸め、浮き上がるまで湯でゆでて作ります。そのあと、すりつぶした黒ごま、炒った大豆の粉、小豆あん、よもぎの粉、細切りのココナツなど、さまざまな衣をまぶします。名前は小さな丸い玉石を思わせるもので、磨かれた宝石のような姿を表しています。

よもぎ、黒ごま、黄色い大豆の粉をまぶしたキョンダンをオレンジ色の皿に並べ、茶を添えたところ

結婚式や初誕生日、季節の祭りなどの祝いの場では、その虹のような色合いが華やぎを添えてきました。蒸し器は不要で、湯を沸かした鍋と好みの衣があれば作れるため、家庭でも取り組みやすいトックです。中はやわらかく心地よい弾力があり、外側には衣ごとの風味があるので、ひと口のなかで違いを楽しめます。

味と食感:中はやわらかくもちもちし、衣によって香ばしさ、甘み、土を思わせる風味などが加わります。食べる場面:祝いの席、季節の祭り、贈り物。


焼くトック|季節の美しさを楽しむ

焼くトック(지지는 떡)など、油で焼いたり揚げたりするものには、蒸すだけでは出せない香ばしく歯切れのよい食感があります。季節の材料や野外での集まりと結びつくことの多い種類です。

10. ファジョン|花びらを飾ったトック

丸い生地に紫のツツジの花をのせ、きつね色に焼いたファジョンを白い皿に輪のように並べたところ

ファジョン(화전、季節の花を飾って焼くトック)は、直訳すれば「花の焼き菓子」です。もち米の粉の生地を小さな円形にし、ごま油で焼いて、食用の花びらを飾ります。春にはチンダルレ(진달래、韓国のツツジ)、秋には菊、夏にはバラを使います。ファジョンを作る伝統は高麗時代(918〜1392年)にさかのぼります。当時の女性たちは重い焼き鍋を山の斜面まで運び、ファジョンノリ(화전놀이、野外で花のトックを作って楽しむ行事)という春の行楽に出かけていました。この伝統は、Saveurによる韓国のトックの総合ガイド(英語)にも記されています。

紫色の丸いファジョンにパンジーやスミレの花を飾り、ブルーベリー、ハーブ、クリームのソースを添えたところ

使う花が季節を映すため、ファジョンはトックのなかでも特に季節感のある一品です。外側は少しぱりっとして、中はもちもちしています。花びらの繊細な香りと美しさが、素朴なトックに詩情を添えます。

味と食感:軽い甘みと、ぱりっとした外側、もちもちした内側。花がほのかに香ります。食べる場面:春や秋の行楽、季節の祝い、茶の時間。


甘いトックと各地の名物|祝いの席で親しまれる味

四つの主な製法の分類とは別に、独自の材料や地域との結びつき、文化的な意味から、ぜひ知っておきたいトックがあります。

11. チャプサルトク|甘いあんを包むもち米のトック

韓国の市場の売り場で、白い米粉をたっぷりまぶしたチャプサルトクを箱に並べたところ

日本のもちを食べたことがあれば、チャプサルトク(찹쌀떡、もち米の生地で小豆あんを包んだ韓国のもち菓子)には親しみを感じると同時に、違いも感じるでしょう。やわらかくもちもちした生地はもち米の粉から作り、タンパッ(단팥、甘い小豆あん)を包みます。日本のもちとの大きな違いは、中に入れるものの幅と文化的な背景です。日本のもちがほぼ甘くして食べられるのに対し、チャプサルトクは、甘いものから塩気のあるものまで広がる韓国のトックの伝統の一部です。

青い陶器の鉢に入った白とよもぎ色のチャプサルトク。割ったもちから甘い小豆あんが見える

韓国では大切な試験の前に、学生へ縁起物としてチャプサルトクを贈ります。粘りのある食感に、知識が頭にしっかりついてほしいという願いを託すのです。今のソウルのカフェでは、いちごやキウイ、ヌテラまで、さまざまな中身を使い、SNSでも話題になる彩り豊かなチャプサルトクを作っています。昔ながらのものも、祝祭日や家族の祝いの定番であり続けています。

味と食感:ふんわりやわらかな生地と、甘くなめらかな小豆あん。食べる場面:試験の時期の縁起物、祝祭日、カフェのデザート、贈り物。

12. ヤクシク|薬となる食べ物に由来する甘い米の菓子

深いカラメル色のヤクシクに松の実となつめをのせ、白い皿に盛って韓国の飾り物と並べたところ

ヤクシク(약식、なつめや栗を入れて蒸したもち米の料理)の名前は、直訳すると「薬となる食べ物」です。もち米(英語)にはちみつ、しょうゆ、ごま油、シナモン、そしてたっぷりの松の実、干しなつめ、栗を加えて蒸し、こくがあり、宝石のような色合いのトックに仕上げます。米にしみ込んだ濃い茶色のカラメル状のたれには、糖蜜を思わせる深みがあります。トックの種類のなかでも、特に複雑な味わいをもつ一品です。

濃いはちみつとしょうゆのたれがからんだ米粒や、なつめ、松の実、黒ごまが見える四角いヤクシク

名前には、食べ物と薬は同じ源をもつという韓国の伝統的な考え方が表れています。記録に残る歴史は1,500年以上に及び、かつては宮廷の宴席や大切な儀礼のための食べ物でした。今もチェサ(제사、先祖をまつる儀礼)や大きな祝祭日に登場する一方、一年を通じて濃厚なデザートとしても親しまれています。甘み、塩気、ナッツの香ばしさ、温かみのあるスパイスが重なり、ほかのトックにはない味になります。

味と食感:こくのあるカラメルのような甘みと、温かみのあるシナモンの香り。ナッツが香ばしく、もちもちしています。食べる場面:先祖をまつる儀礼、旧正月、チュソク、特別な日。

13. クルトク|はちみつ入りのトック

白とピンクのクルトクを白い器に盛り、小豆あんの小鉢とともに濃い色の木の盆にのせたところ

クルトク(꿀떡、はちみつとごまを包んだトック)には、かむと楽しい驚きがあります。米粉の生地で、ごまを混ぜた液状のはちみつを巻き込み、長い筒状にしてからひと口大に切って作ります。もちもちした外側をかみ切ると、中から甘いはちみつとごまが流れ出し、温かみのある香ばしさが広がります。つい手が伸びるおやつです。

昔は屋台のおやつや、子どもへのごほうびとしてよく食べられていました。もちもちした生地と、とろりとしたはちみつの組み合わせは、今の韓国の市場やトッチプ(떡집、韓国のもち菓子店)でも人気です。小ぶりで、もともと甘みがあるため、初めてトックを食べる人にも親しみやすい種類です。

味と食感:もちもちした生地の中から、はちみつとごまが流れ出します。食べる場面:一年を通じたおやつ、伝統市場、贈り物。

14. スックトク|よもぎが香るトック

深い緑色で表面がなめらかな丸いスックトクを木の鉢に盛り、木のフォークを添えたところ

スックトク(쑥떡、よもぎを練り込んだトック)の鮮やかな緑色は、韓国で文化的に大切にされてきた野草のよもぎ、韓国語でいうスック(쑥、よもぎ)によるものです。生や乾燥のよもぎを米粉の生地に混ぜて蒸すと、かむほどに深まる、土や草を思わせる香りが生まれます。甘い小豆あんを包むこともあれば、そのまま味わうこともあります。

よもぎは韓国の人々にとって特別な植物です。建国神話では、熊が百日間、よもぎとにんにくだけを食べて女性になり、やがて朝鮮で最初の国を建てたとされる神話上の人物、タングン(단군、檀君)の母になりました。神話を離れても、春の市場によもぎが並ぶことは、季節が新しく動き出した知らせです。スックトクは、韓国の食文化と自然の巡りをつなぐ季節の味として親しまれています。

布を敷いたかごに盛った深緑色のスックトク。まわりによもぎの葉と粉を添えている

味と食感:土や草を思わせる香りと穏やかな苦み、もちもちした食感。食べる場面:春、チュソクの緑色のソンピョン、トッチプでは一年を通じて。

15. オメギトク|済州島のアワで作るトック

粒の残る小豆あんで包んだオメギトク。切った断面には、よもぎを混ぜた濃い緑色の生地が見える

トックの種類を紹介するなら、済州島を代表するオメギトク(오메기떡、アワで作る済州島のトック)は欠かせません。米を主に使う本土のトックとは違い、島の火山性の土壌に育つ在来のチャジョ(차조、アワの一種)から作ります。アワの粉の生地を蒸し、小さく丸め、甘い小豆あんで包みます。独特の粒感と香ばしさがあり、米から作るトックとは違った味わいです。

粒の残る小豆をまとった平たいオメギトクをかごの盆に並べ、材料の小豆と乾いたアワの穂を添えたところ

オメギトクには、済州島独自の農業の歴史が映っています。かつて水田での稲作が難しかった土地で、アワは主食となり、島の食文化全体を形づくりました。今では済州を訪れる人に人気の土産で、島内の伝統市場や専門店で買えます。土地の地理や歴史によって、トックの種類がいかに大きく変わるかを伝える一品です。

味と食感:香ばしいアワの生地と甘い小豆の衣。少し粒感があります。食べる場面:一年を通じて味わえる済州島の名物、旅行の土産、祝いの席。


トックの種類はどのように分けられるのか

韓国の伝統的な料理では、広いトックの世界を製法によって四つに分けます。この分け方を知ると、数の多さに圧倒されがちなトックの種類も、ぐっと理解しやすくなります。

製法 韓国語の呼び名 主な特徴 代表例
蒸す 찌는 떡 やわらかくケーキのようなものから、密度の高いものまで ペクソルギ、シルトク、ソンピョン
つく 치는 떡 弾力があり、引きあめのようによく伸びる インジョルミ、カレトク、チョルピョン
ゆでる 삶는 떡 やわらかな丸い生地に粉などをまぶす キョンダン
焼く 지지는 떡 外はぱりっと、中はもちもち ファジョン
木の箱に入った短粒の白いうるち米と稲穂。カレトクやソンピョンなどに使う材料

2022年、韓国政府はトックづくりを国家の無形文化遺産(英語)として正式に認めました。地域の暮らしに深く根づき、三国時代にさかのぼる文献にも登場することが理由とされています。四つの製法を知ることは、この豊かな食の伝統を理解する鍵です。一般的な短粒のうるち米であるメプサルは、トッククの薄切りのトックやソンピョンのように、しっかりしながらも歯切れのよい食感を生みます。もち米のチャプサルからは、インジョルミやチャプサルトクに特徴的な、弾力があってよく伸びるもちもち感が生まれます。この違いを知ると、トックの種類によって食感が大きく変わる理由がわかります。


トックはどこで買えるのか

「떡집」の看板を掲げた韓国のトッチプのイラスト。店先の台にさまざまなトックを並べる売り手と、品物を見る客が描かれている

米国のH Martのような韓国系の食料品店では、カレトク、ソンピョン、チャプサルトクなど、生や冷凍のトックを幅広く扱っています。韓国以外でも、トックは以前よりずっと手に入りやすくなりました。米国向けのWeee!や、Amazonのような通販にも人気の種類がそろい、日本では韓国食材店や国内の韓国食品の通販で探せます。できるだけ作りたてを食べたいなら、トッチプを探してみてください。世界各地の韓国系の人々が暮らす地域には、今も毎日手作りする専門店があります。

保存のコツ:ほとんどのトックは、冷蔵より冷凍での保存に向いています。冷蔵庫の低温では米のでんぷんの老化が速く進み、硬くなってしまうためです。冷凍したトックは、解凍してから蒸すか電子レンジで温めれば、もとのもちもちした状態に戻せます。


トックの種類についてよくある質問

トックはグルテンフリーですか?

メプサルでもチャプサルでも、米粉だけで作る伝統的なトックには、もともとグルテンは含まれていません。もち米の英語名「glutinous rice」は紛らわしいのですが、ここでいう「glutinous」は粘りを表す言葉で、グルテンの含有を意味しません。ただし、市販の袋入りトッポギ用トックには、費用を抑えるために米粉と小麦粉を混ぜたものもあります。セリアック病やグルテン過敏症のある方は、必ず原材料表示を確認してください。

トックはどんな味がしますか?

白い皿に積んだ作りたてのカレトク。トッポギに使ったり、薄い楕円形に切ってトッククに入れたりする

何も加えないトックは、ほのかに甘く、すっきりと淡泊な味です。だからこそ、甘いあんにも塩気のあるたれにも合わせられます。大きな魅力は食感にあり、ペクソルギのやわらかくほろりと崩れる口あたりから、インジョルミの引きあめのような伸びまで、心地よい歯ごたえが楽しめます。韓国語のチョルギッチョルギッ(쫄깃쫄깃、心地よい弾力のある食感)という言葉は、トックがやみつきになる理由をよく表しています。

トックと日本のもちは何が違いますか?

トックと日本のもちの違いを一言でいえば、種類と使い道の幅です。英語圏の人からは、両者がどう違うのかを最もよく聞かれます。日本のもちはほぼもち米から作られ、主に甘くして食べられるのに対し、韓国のトックにはもち米とうるち米の両方が使われます。甘いデザートから、トッポギやトッククのような塩気のある料理まで、用途も広がっています。製法にも違いがあり、日本のもちではつく方法が中心ですが、韓国のトックには蒸して作る種類が多くあります。


トック15種類の早見表

番号 名前(ハングル) 製法 米などの種類 甘味・塩味 代表的な場面
1 ペクソルギ(백설기) 蒸す うるち米 甘味 生後100日の祝い
2 シルトク(시루떡) 蒸す うるち米 甘味 結婚式
3 ソンピョン(송편) 蒸す うるち米 甘味 チュソク
4 ムジゲトク(무지개떡) 蒸す うるち米 甘味 誕生日・宴席
5 チュンピョン(증편) 蒸す(発酵) うるち米 甘味
6 インジョルミ(인절미) つく もち米 甘味 結婚式・新居祝い
7 カレトク(가래떡) つく うるち米 塩味・甘味 ソルラル、トッポギ
8 チョルピョン(절편) つく うるち米 甘味 茶礼
9 キョンダン(경단) ゆでる もち米 甘味 祝いの席
10 ファジョン(화전) 焼く もち米 甘味 春・秋の行楽
11 チャプサルトク(찹쌀떡) 蒸す・つく もち米 甘味 試験、祝祭日
12 ヤクシク(약식) 蒸す もち米 甘味 先祖をまつる儀礼
13 クルトク(꿀떡) 蒸す うるち米 甘味 市場、おやつ
14 スックトク(쑥떡) 蒸す さまざま 甘味
15 オメギトク(오메기떡) 蒸す アワ 甘味 済州島の名物

現代の韓国で親しまれるトック|伝統から流行へ

韓国のトックの世界は、今も変わり続けています。昔ながらのトックが祝祭日や家族の儀礼を支える一方、新しい世代の料理人や起業家は、現代の食文化に取り入れる工夫を重ねています。ソウルのトックのデザートカフェでは、職人が作るトックにスペシャルティコーヒーやナチュラルワインを合わせます。ロゼトッポギ(로제떡볶이、クリーミーで辛さを抑えたトッポギ)(英語)は、わずか数年のあいだにソウルの宅配アプリから世界のTikTokへと広まりました。インジョルミ風味も、ラテやピンス、アイスクリームにまで使われています。

ナッツやドライフルーツを加えたよもぎのトック、黄色い層のトック、白と小豆の層のシルトク、濃い緑のソンピョンを白い盆に並べたところ

その一方で、伝統的なトッポギも進化を続けています。もとは、しょうゆを使った上品な宮廷料理、クンジュントッポギ(궁중떡볶이、しょうゆ味の宮廷風トッポギ)(英語)でした。それをマ・ボンニムが1953年に、今よく知られるコチュジャンを使った辛い屋台料理(英語)へと変えました。今ではロゼトッポギのレシピ(英語)や、チーズトッポギ、ラポッキ(라볶이、ラーメンを合わせたトッポギ)などが、さらに幅を広げています。ソウルでその歴史を実際に味わいたいなら、チュンゴクトンのファン・スネトッポギ(英語)では昔ながらの屋台の味に触れられます。プクチョンのモクシドンナでは、自分で作りながら食べる体験が楽しめます。

黄色いソンピョンを半月形に整える手元。そばの皿にはピンク、緑、白のソンピョンが並んでいる

昔と今が交わるところに、トックの種類を知る面白さがあります。どの種類も、家族、季節、健康、地域のつながりにまつわる意味を何世紀にもわたって受け継ぎながら、新しい形へと変わる余地を残しています。焼いたカレトクをはちみつにつける素朴な楽しみから始めても、チュソクのソンピョンづくりにじっくり取り組んでも、トックを知ることは韓国の食文化を内側から理解する、実りの多い入り口になります。

このなかで食べたことのあるトックはありますか。いちばん味わってみたいのはどれでしょうか。体験や疑問を、下のコメント欄でぜひ教えてください。このガイドが役に立ったら、韓国料理に興味をもち始めた友人にも紹介してみてください。

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