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北岳山ハイキング|漢陽都城をたどるコースと歴史、下山後の食事

編集者:
北岳山の漢陽都城。松の枝の下、銃眼のある城壁に沿って石段が続き、遠くにソウルの街並みが広がる

600年の歴史をもつ城壁に沿って歩き、15発の銃弾の跡が刻まれた松の木のそばを通り過ぎながら、足もとに広がるソウルのパノラマを眺める自分の姿を想像してみてください。そんな体験ができる場所が、北岳山(プガクサン、북악산)です。北岳山では、漢陽都城(한양도성、ソウルの城郭)が、自然の美しさと軍事の歴史、文化の伝統を併せもつ、韓国でも指折りの魅力的な姿を見せてくれます。40年以上にわたって民間人の立ち入りが禁じられていた北岳山の登山道は、いまでは、現代韓国史でもとりわけ劇的な出来事を見届けてきた風景の中を歩く、またとない旅へと訪れる人をいざないます。

北岳山の漢陽都城に沿って続く、小石を埋め込んだ舗装の道。石積みの城壁の脇に松がそびえ、先には小さなコンクリートの建物と歩く人の姿が見える

景福宮(경복궁)のすぐ裏手に位置する北岳山は、標高342mで、ソウルの内四山と呼ばれる四つの山のなかでいちばん高い山です。この峰を越えていく漢陽都城の区間は、ただ景色のよい登山道ではなく、古い防御の建築と冷戦期の諜報が交わり、韓国の伝統的な山の文化と現代のソウルが溶け合い、石のひとつひとつが王朝や特殊部隊員、大統領たちの物語をささやいているかのような、生きた博物館なのです。

高い石積みの城壁に沿って下っていく木の階段。左に鉄条網の柵が続き、遠くに岩肌の山並みが見える

目次

  • 北岳山で漢陽都城をいちばん楽しめる理由
  • 1968年の襲撃事件|銃弾の跡に刻まれた歴史
  • 青瓦台の裏手の登山道|現在の状況
  • コースの詳細と道中の様子
  • 行き方と知っておきたいこと
  • 下山後の食事という習わし|韓国の登山と食文化
  • 下山後に寄りたい北岳山周辺のおすすめの店
  • 北岳山ハイキングのよくある質問
  • 北岳山歩きの計画を立てよう

北岳山で漢陽都城をいちばん楽しめる理由

尾根に沿って続く城壁と、その脇の道を歩くハイカーたち。奥に岩肌の山並みと山すその住宅地が広がる

漢陽都城は、ソウルの歴史ある中心部を囲んで約18.6kmにわたって続いていますが、北岳山の区間には、ほかの区間にはまねのできないもの、つまり歴史が生んだ希少性があります。仁王山(イヌァンサン)のハイキング(英語)をはじめ、ほかの山にもそれぞれに魅力のある山歩きがありますが、北岳山では、立ち入りが制限されていた過去のおかげで、図らずも手つかずの風景が残りました。

「彰義門」の扁額を掲げた楼閣と石造りのアーチの門。夏の青空の下、アーチの向こうを人が歩いている

彰義門(チャンイムン、창의문)からは、丁寧に復元された城壁に沿って、石段の急な上りが続きます。開発が迫る都市の登山道とは違い、北岳山は立ち入りが禁じられていたからこそ、野趣あふれる姿を保ってきました。ここの城壁は驚くほどよい状態で残っていて、14世紀に積まれた石には、朝鮮王朝時代の石工が刻んだ印がいまも見て取れます。

松の木の下をまっすぐ上っていく長い石段。左に手すり、右に低い石垣が続き、落ち葉が積もっている
赤く色づいたカエデに囲まれた休憩所。ベンチと案内板があり、奥に岩肌がのぞく山頂が見える
鉄条網の柵の向こうにそびえる、松に覆われた岩山の頂
松林の斜面にのぞく青瓦台の青い瓦屋根と、手前に広がるソウルの街並み

山頂のペガクマル(백악마루)に立つと、この山がなぜ立ち入りを制限されてきたのかがわかります。目の前に広がるのは、空を突くようにそびえるNソウルタワーや、遠くを縫うように流れる漢江(ハンガン)といった、ソウルの現代的なスカイラインだけではありません。景福宮と青瓦台(チョンワデ)の敷地までが、まっすぐ見通せるのです。防衛のうえでこれほど戦略的な価値をもつ見晴らしの地だったからこそ、ここは朝鮮半島でもとりわけ大胆な軍事作戦の舞台となりました。

「청와대 전망대」の札が付いた柵の向こうに広がるソウルの街並み。遠くの山の上にNソウルタワーが立つ
松の枝越しに見える、屋上にアンテナや鉄骨の台を備えた白い建物

1968年の襲撃事件|銃弾の跡に刻まれた歴史

1968年1月21日、北朝鮮の特殊部隊員31人からなる部隊が、北岳山の山道を通ってソウルに潜入しました。目的は、当時の大統領だった朴正煕(パク・チョンヒ)の暗殺です。この事件は、のちに1・21事態、あるいは青瓦台襲撃未遂事件として知られるようになりました。特殊部隊員たちは第124部隊の所属で、この任務のためだけに2年間訓練を重ね、ソウルの街路を覚え込み、韓国政府の中枢を襲う準備をしていました。

金網の門の先に、道しるべと立体地図の案内板が立つ登山道

作戦は惨憺たる失敗に終わりました。韓国の警察が侵入者たちを見つけたことで、ソウル北部の山々で大規模な捜索が始まりました。その後の銃撃戦で、韓国側は特殊部隊員28人を射殺し、1人を捕らえました。捕らえられたのは金新朝(キム・シンジョ)で、のちに韓国で牧師になりました。別の1人は北朝鮮へ逃げ帰り、将軍になりました。この事件では韓国の警察官や兵士、民間人も命を落とし、国民の心には消えない傷跡が残りました。

緑色のフェンスに沿って下っていく、灰色の手すり付きの階段道。遠くに山並みと高層ビルが見える

現在、山頂を過ぎて約200m進むと、1・21事態の松(1.21 사태 소나무)に出会います。樹齢約200年の1・21事態の松には、銃撃戦でできた15発の銃弾の跡が残っています。松は物言わぬ証人としてたたずみ、傷を負った幹は、北岳山が戦場となったあの冬の日と、目に見えるかたちでつながっています。案内板が韓国語と英語で事件を説明していますが、銃弾の跡そのものが、争いと生き延びた歴史を、言葉の壁を越えて語りかけてきます。

鉄条網の柵の前に立つ道しるべ。「청운대 안내소 가는길」と書かれた丸い札が付いている

こうした歴史があったため、北岳山は2007年まで民間人に閉ざされたままで、安全上の懸念が薄れてから、ようやく開放されました。それでも制限は続きました。当初は登山道に入るのにパスポートが必要で、一部の区間は立ち入り禁止のままでした。山のふもとに青瓦台があったため、北岳山はいわば大統領の裏庭で、警備部隊や監視システムに見張られていたのです。

青瓦台の裏手の登山道|現在の状況

金色の紋章が付いた白い門と、瓦をのせた石塀の前に立つハイカー

北岳山と大統領との関わりは、大きく移り変わってきました。2022年に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が執務室を龍山(ヨンサン)へ移すと、青瓦台の敷地は74年ぶりに一般に公開され、その裏手にある北岳山の登山道も歩けるようになりました。訪れた人は、かつて歴代の大統領が散策した道そのものを歩き、それまで韓国の最高権力者たちにしか許されなかった眺めを楽しめるようになったのです。

青瓦台の青い瓦屋根の建物を背に、芝生の前で写真を撮るハイカーたち。奥に岩肌の山がそびえる

大統領の公式日程には、李在明(イ・ジェミョン)大統領が2025年12月29日に青瓦台の本館に到着したことが記されています。大統領警護処は2026年3月5日の発表で、青瓦台の裏手にある指定の登山道も含め、北岳山での一般の登山は引き続き24時間可能であることを確認しました。

赤いじゅうたんの大階段とシャンデリアのある広間に、列を作って並ぶ見学者たち
大きな楕円形の会議テーブルと黄色い椅子が並ぶ会議室。シャンデリアが下がり、窓辺に太極旗と青い旗が立つ

大統領警護処の2026年3月5日の発表は、北岳山のうち、すでに一般に開かれている登山道と、当時はまだ立ち入りが制限されていた清雲洞(チョンウンドン)方面の南西側の区間とを区別していました。その区間の開放時期は、発表では明らかにされていません。一般の登山では、訪れる前に公式の登山道の案内を確認し、彰義門から山頂と粛靖門(スクチョンムン、숙정문)を経てマルバウィへ向かうルートをたどってください。なお、登山道を歩けるからといって、青瓦台の敷地に入れるわけではありません。

雪の残る冬の道。高い石積みの城壁に沿って土の道が続き、奥に急な階段が見える

コースの詳細と道中の様子

北岳山の一般的な登山コースは全長約4.7kmで、歩くペースや写真を撮るために立ち止まる時間にもよりますが、たいてい2〜3時間かかります。おおまかなルートは次のとおりです。

石造りのアーチの門をくぐるハイカーたち。門の上に色鮮やかな木造の楼閣がのる
トンネルの出口越しに見る、「彰義門」の扁額を掲げた門と石畳の広場
門のアーチの天井に描かれた、二羽の鳳凰と色とりどりの雲の文様
アーチの陰から見上げる「彰義門」の扁額と楼閣、その下の石造りのアーチ
石垣に掲げられた、昔の彰義門を写した白黒写真を並べた案内板

彰義門からスタート:たいていの人は彰義門から歩き始めます。彰義門は紫霞門(チャハムン)という別名をもち、ソウルに四つある小さな城門、四小門のひとつです。ここから登山道は、復元された漢陽都城に沿って、すぐに上りになります。上りは急で、階段やでこぼこした石段が続きますが、ベンチのある休憩所が一定の間隔で現れます。

「青雲臺」と刻まれた石の標識。奥に新緑の木々と遠くの街並みが見える
松の木が枝を広げる見晴らしのよい広場に、ハイカーたちが集まっている

山頂と青雲台:彰義門から歩くと、道はまず山頂のペガクマルに出て、そこから1・21事態の松のそばを通って青雲台(チョンウンデ)の岩場へと続きます。山頂からの眺めは格別です。北には北漢山(プカンサン)国立公園がそびえ、南にはソウルの都心が広がり、漢陽都城は尾根に沿って両方向へうねるように延びています。青雲台からも、ソウル北部を広く見渡せます。

枝を大きく広げた松の木の下、木の手すりに沿って城壁の脇を下っていく道
松林の中を通る石畳の道。左に段々に続く城壁の石積み、右に木の柵が並ぶ

1・21事態の松:山頂から粛靖門へ向かって下りながら、銃弾の跡が残る松を探してみましょう。松はメインの道から少しそれたところに立っていて、1968年の事件を説明する案内板が目印です。この区間では、とりわけ保存状態のよい城壁の造りを見ることができます。

門のアーチの脇から城壁の上へ続く石段と、真っ赤に色づいたカエデ
城門の脇の石段を見下ろした眺め。向かいにも石段が続き、赤いカエデの下にハイカーが立つ

粛靖門:粛靖門は、北側に残る門のなかで、いまも両側が城壁とつながっている唯一の門で、1976年に全面的に再建されました。ここからは、臥龍公園(ワリョン公園)へ下るか、三清洞(サムチョンドン)とマルバウィの方面へ進むことができます。

灰色の木の手すりが続く下りの山道。道しるべと、山火事への注意を呼びかける札が立つ

道の険しさは中程度です。登山の技術は必要ありませんが、上りが長く続き、階段も多いので、ある程度の体力があると歩きやすくなります。路面は、木の遊歩道、土の山道、石段が入れ替わりながら続きます。登山靴までは要りませんが、滑りにくく丈夫な運動靴をはくことを強くおすすめします。

落ち葉が積もった岩の石段と、その先に続く木の手すりの階段

季節によって、歩く体験は大きく変わります。春はレンギョウや桜の花が咲き、秋には山の斜面が燃えるような赤や金色に染まります。夏は蒸し暑くなることがあり、冬はときおり雪が降ります。雪の日の漢陽都城はひときわ印象的ですが、凍結のおそれがある石段では、いつも以上の注意が必要です。

赤く色づいた木々の下に立つ、北岳山一帯の登山道を描いた立体地図の案内板

一部の場所、とくにいまも残る軍の施設の近くでは、撮影の制限が続いています。撮影禁止の場所は標識ではっきり示されているので、その制限を守りましょう。登山道を見守る防犯カメラは、北岳山がそれだけ警戒の必要な場所にあることを物語っています。

行き方と知っておきたいこと

「景福宮」と「キョンボックン」の表記もある、地下鉄景福宮駅の出入口の案内柱

行き方:いちばん便利な出発点は、地下鉄3号線の景福宮駅3番出口です。そこから1020番、7022番、7212番のいずれかのバスに乗り、紫霞門トンネル・尹東柱(ユン・ドンジュ)文学館のバス停で降ります(約7〜8分)。彰義門は、バス停から歩いてすぐです。

瓦屋根をのせた石塀沿いの歩道を歩く、赤いコートの観光案内係。奥にバス停と岩肌の山が見える

景福宮駅から彰義門まで歩くこともできます。距離は約1.5kmで、20〜25分ほどかかります。道中では趣のある三清洞の界隈を通るので、カフェに立ち寄ったり、文化的な名所を訪ねたりできます。

入山の手続き:北岳山の一般向けの登山道は自由に入山できる仕組みで、ソウル市の公式案内によると、以前のような身分確認はもう必要ありません。訪れる前に、ソウル市の漢陽都城公式サイト(英語)で最新の入山情報を確認してください。

銃眼のある城壁に沿って下っていく石段と木の手すり。松の向こうに山並みが見える

開放時間:北岳山の指定された一般向けの登山道は、毎日24時間開放されていると案内されています。ソウル市の公式案内は、季節ごとに次の日中の時間帯に歩くことをすすめています。

  • 夏(5〜8月):午前7時〜午後7時
  • 春・秋(3〜4月、9〜10月):午前7時〜午後6時
  • 冬(11〜2月):午前9時〜午後5時
展望デッキの柵ごしにソウルの街並みを眺めるハイカーたち。右奥の山の上にNソウルタワーが立つ

ソウル市の公式案内では、北岳山の一般向けの登山道は一年を通して利用でき、火曜日の定期的な閉鎖はないとされています。訪れる前に公式の登山道の案内を確認し、現地では掲示されたお知らせに従ってください。

持ち物:

  • 水(1人あたり1リットル以上)
  • おやつや、山歩き向けの軽い食べもの
  • 日差し対策のもの(帽子、日焼け止め)
  • カメラ(撮影禁止の場所では撮らない)
  • 下山後の食事のための現金
  • 歩きやすく滑りにくい靴

下山後の食事という習わし|韓国の登山と食文化

韓国の登山文化には、海外から来た人が驚くかもしれない習わしとして、よくハサンジュ(하산주)と呼ばれる下山後の食事があります。ハサンジュは、文字どおりには「下山の酒」という意味です。この食事は、運動のあとにただ栄養を補うだけのものではなく、山を登りきった達成感と、食べものや酒をみんなで分かち合う楽しみがひとつになる、社会に根づいた習わしなのです。

この習わしを知っておくと、北岳山での体験は、観光から文化にどっぷり浸る時間へと変わります。彰義門や三清洞の方へ下りてくると、近くの食堂やカフェへ向かう地元の登山客の流れに加わり、あとは山歩きの儀式をきちんと締めくくるだけです。

木のテーブルに置いたマッコリのボトルと、金属の器や白い杯、小皿のおかず

マッコリ、山の酒:韓国の登山文化を、マッコリ(막걸리、白く濁ったほんのり甘い米の酒)ほど体現する飲みものはありません。マッコリはかすかに発泡していて、アルコール度数は6〜8%ほどです。昔ながらの手ごろな酒として、マッコリは何世代にもわたって登山客に選ばれてきました。さわやかな飲み口とほどよい酔い心地、そして文化に根ざした本物の魅力を備えたマッコリは、山を登りきったお祝いにぴったりです。登山口の近くの食堂にはいつもマッコリが置いてあり、昔ながらの真鍮のやかんに、おそろいの杯を添えて出されることもよくあります。

黒い土鍋のサムゲタン。白く濁ったスープから、スプーンで丸ごとの高麗人参を持ち上げている

サムゲタン、高麗人参と鶏のスープ:下山後の食事でとくに人気のあるもののひとつが、サムゲタン(삼계탕、参鶏湯)です。サムゲタンは、若鶏を丸ごと一羽使い、もち米、高麗人参、なつめ、にんにくを詰めて、肉が骨からほろりと外れるまで煮込んだ料理です。熱々で滋養のあるスープは元気を補い、筋肉を温めてくれるので、寒い時期にはとりわけ人気があります。高麗人参はほのかな土の香りを添え、体力や免疫力を高めるともいわれていて、疲れた登山客にはぴったりです。

編みかごの皿にのせた、ねぎをたっぷり焼き込んだパジョン

ジョンとパジョン:山の食堂では、ジョン(전、塩味の韓国のパンケーキ)がマッコリと一緒に出されることがよくあります。パジョン(파전)はねぎを使い、海鮮を入れることも多いジョンで、外はかりっと中はもっちりした食感が米の酒によく合います。熱々で塩気のあるジョンと、冷たくて甘いマッコリの組み合わせは、韓国の人々が何世紀もかけて磨き上げてきた味のバランスです。

この下山後の儀式の目的は、ごちそうを味わうことではなく、みんなで体験を分かち合うことです。色とりどりの機能的な登山ウェアを着たままのグループが、低いテーブルを囲んでマッコリのボトルを分け合い、山道の大変さを笑い合いながら、早くも次に登る山の計画を立てている姿を目にするでしょう。ひとりで旅をする外国人でも、この習わしに加われば、韓国の根っこにあるものとつながれます。

下山後に寄りたい北岳山周辺のおすすめの店

北岳山を歩いたあとは、三清洞やプクチョン(북촌)の界隈で、韓国の下山後の習わしを大切にしながら、ソウルの食のすばらしさも味わわせてくれる、とびきりの店に出会えます。ここでは、どれも登山口から行きやすい、おすすめの店を紹介します。

「토속촌 삼계탕」の縦長の看板を掲げた韓屋の店の前に、長い行列ができている
黒い土鍋に入った白く濁ったスープのサムゲタン。丸ごとの鶏に刻んだねぎと松の実、種実、黒ごまをのせ、奥にカクテキの小皿が並ぶ

トソクチョン:本場のサムゲタンといえば、トソクチョン(토속촌、土俗村)(英語)が、ソウルでいちばん有名なサムゲタンの店として知られています。景福宮の近く(北岳山の南側の登山口から歩いてすぐ)にあるこの店は、昔ながらの作り方を守りながら、歴代の大統領や有名人にも料理をふるまってきました。丸ごとの鶏がぐつぐつと煮え立つスープに入って運ばれてきて、肉は箸だけでほぐれるほどやわらかです。山歩きのあとには、体を元気にしてくれるこのスープが格別においしく感じられます。

料理の写真を並べた品書きの看板と、「黃生家 칼국수」の文字が入った営業中の立て看板
白い器に入った澄んだスープのカルグクス。刻んだねぎと青菜、粉唐辛子がのっている

ファンセンガカルグクス:麺が好きなら、ミシュランガイドに推薦されたファンセンガカルグクス(황생가칼국수、黄生家カルグクス)(英語)がおすすめです。この店は、コクとうまみのあるスープに包丁で切った麺を入れて出しています。量がたっぷりで値段も手ごろなこの店は地元の人に人気があり、景福宮の近くという立地も、北岳山を歩いたあとの食事に便利です。太くてもちもちした麺は、くたくたになった登山客が求める炭水化物を、しっかり補ってくれます。

「무구옥」の木の看板を掲げた韓屋の店構え
窓辺のテーブルに並ぶ、ほぐした鶏肉の皿と白いスープ、ごはん、カクテキなどのおかず

ムグオクのサムゲタン:サムゲタンなら、三清洞のムグオク(무구옥)(英語)もすばらしい選択肢です。北岳山の東側へ下山するなら、ムグオクはまさにうってつけの場所にあります。この店では、落ち着いた三清洞の雰囲気のなかで本格的なサムゲタンが味わえ、伝統的な韓屋の建物やギャラリーに囲まれて食事を楽しめます。

「서촌기와집」の看板を掲げた店の正面。瓦をのせたひさしの下に、料理の写真入りのポスターが貼られている
丸い鍋に、薄切りの牛肉とえのきだけ、もやしを山盛りにしたプルコギ

ソチョンキワジプ:韓国焼肉が食べたくなったら、ソチョンキワジプ(서촌기와집)(英語)がおすすめです。この店は、プルコギ(불고기、味つけした牛肉)と冷麺(냉면、そば粉の冷たい麺)を専門にしています。プルコギはたんぱく質たっぷりで体の回復を助け、冷麺のさわやかさは、汗をかいて山を登ったあとに体を冷ますのにぴったりです。景福宮の西側、ソチョン(서촌)にあるこの店は、いかにもソウルらしい雰囲気で、観光客より地元の人が多く訪れます。

「온미관 溫味」の看板を掲げた緑色の外壁の店と、料理の写真入りの立て看板
浅い鍋に薄切りの牛肉を盛り、春雨と白菜、セリを囲むように並べた汁けのあるプルコギ

オンミグァンのプルコギ:昔ながらの炭火焼きのプルコギなら、宮殿の近くにあるオンミグァン(온미관)(英語)が、受け継がれてきた調理法で楽しませてくれます。薄切りにして味つけした牛肉をテーブルで焼くと、こんがりと焼けた肉のたまらない香りが、あたりに満ちていきます。ソジュ(소주)やマッコリを合わせて、本場の下山後の体験を締めくくりましょう。

「천하보쌈」の看板を掲げた店の入り口。窓に品書きが貼られている
レタスの葉にゆで豚とにんにく、薬味をのせて包むところ。奥にキムチやゆで豚の皿が並ぶ

チョンハポッサム:いつもと違うものを試したいなら、昌徳宮(창덕궁)のそばのチョンハポッサムで、ポッサム(보쌈、ゆで豚を包んで食べる料理)を味わえます。ポッサムは、やわらかい豚バラ肉を新鮮な野菜で包み、エビの塩辛を添えて食べる料理です。この軽めの料理は、おなかにもたれすぎずに満足でき、自分で包んで食べるスタイルなので、手を動かしながら楽しく食べられます。

瓦屋根の韓屋の中庭に、パラソルと屋外の席が並び、入り口に人が集まっている
窓の外に広がる韓屋の瓦屋根の街並みと、その奥の山。窓辺の棚に器が並ぶ

カフェ文化:下山後に立ち寄る店が、どこもしっかりした食事の店である必要はありません。美しく改装された韓屋にあるカフェオニオン安国では、インスタ映えする空間で、とびきりのコーヒーとデザートが楽しめます。韓国の伝統茶を味わうなら、プクチョンにあるオソルロク(오설록)のティーハウス(英語)では、洗練された韓屋の空間で抹茶や韓国の伝統茶がいただけます。こうしたカフェでは、疲れた足を休めながら、文化に浸る時間をさらに延ばせます。

木のトレーにのせた抹茶のケーキと、抹茶のソフトクリームをのせたグラスの抹茶ドリンク

この一帯には食事の店が集まっているので、いくつもの店を回ってもいいですし、そのとき食べたいもので選んでもかまいません。大切なのは、韓国の文化では、山歩きのあとの食事がおまけではないと知っておくことです。下山後の食事は山の体験に欠かせない一部であり、山を登ること自体と同じくらい大切なのです。

北岳山ハイキングのよくある質問

紅葉した山の斜面の向こうに広がる住宅地と、岩肌の連なる山並み

北岳山の登山道は、どのくらい大変ですか?

松林の中、城壁の石積みに沿って上っていく石段。右手に道しるべが立つ

北岳山の登山道の難易度は、中程度とされています。大変なのは、登山の技術が要る地形ではなく、長く続く上り(標高差は約200m)と、数多くの石段です。ある程度の体力があれば、たいていの人は歩き通せますが、階段に慣れていない人にはきつく感じられるかもしれません。登山道はよく整備されていて、必要な場所には手すりがあり、途中のあちこちに休憩所もあります。北漢山のような、ソウルのもっと険しい山に比べると、北岳山はずっと歩きやすく、それでいて本格的な山歩きを味わえます。

大統領が青瓦台に戻ったあとも、北岳山の登山道は開放されていますか?

板張りの遊歩道の入り口に立つ道しるべ。「숙정문」などの行き先と、日本語も添えた案内板が並ぶ
板張りの展望デッキから、色づいた住宅街と遠くの山並みを眺める人たち

はい。2026年3月5日の大統領警護処の発表により、大統領が青瓦台に戻ったあとも、北岳山の指定された一般向けの登山道は24時間の開放が維持されています。彰義門から山頂(ペガクマル)と粛靖門を経てマルバウィへ向かうルートは、いまも一般の登山コースに含まれていて、1・21事態の松や漢陽都城、見晴らしのよい眺めを楽しめます。ただし、登山道を歩けるからといって、青瓦台の敷地に入れるわけではありません。訪れる前に、公式の登山道の案内を確認してください。

北岳山を歩くのにいちばんよい季節はいつですか?

高い石積みの城壁に沿って続く細い道と、色づいた木々
雪に覆われた城壁沿いの道で、立ち止まって話すハイカーたち

北岳山を歩くなら、春(4〜5月)と秋(9〜11月)が理想的です。どちらの季節も過ごしやすい気温で、春には桜、秋には鮮やかな紅葉と、すばらしい景色が楽しめます。とくに秋は写真映えする季節で、金色や深紅に色づいた葉が漢陽都城を縁取ります。夏(6〜8月)は蒸し暑くなることがあり、ときおり梅雨どきの雨も降りますが、早朝に歩けば暑さを避けられます。冬(12〜2月)は空気が澄んで遠くまで見渡せ、城壁がうっすらと雪化粧することもありますが、凍結のおそれがある石段には十分な注意が必要です。北岳山の一般向けの登山道は毎日開放され、火曜日の定期的な閉鎖もないと案内されています。

北岳山歩きの計画を立てよう

「한양도성 순성길」と書かれた展望案内板が立つデッキと、眼下に広がる住宅街

北岳山には、現代ではますます珍しくなったものがあります。それは、歴史が博物館に閉じ込められず、銃弾の跡が残る木の中に生き、政治のドラマが山の尾根で繰り広げられ、古い城壁がいまも風景をかたちづくっている場所です。この峰を越える漢陽都城の区間は、運動や眺め以上のものを与えてくれます。この区間を歩けば、朝鮮王朝の築城者から冷戦期の特殊部隊員、そして現代の大統領たちまで、幾重にも重なった韓国の過去と、じかにつながることができます。

高い城壁に沿って続く道と、「와룡공원」の道しるべ

歴史的な意義にひかれる人も、漢陽都城の建築の美しさにひかれる人も、ただソウルを見渡す眺めを楽しみにしている人も、北岳山はどんな人の期待にも応えてくれます。登山道の難しさは中程度なので気軽に挑戦でき、それでいて歩き終えたときには確かな達成感があります。地元の登山客にまじって下山後の食事の習わしに加わる文化体験は、観光ガイドブックには載っていない、本物の韓国の味わいを添えてくれるでしょう。

木の手すりが付いた、何度も折り返す木の階段を歩くハイカーたち

北岳山を訪れる前に公式の登山道の案内を確認し、指定された一般向けのルートを歩きましょう。歴史がつくられた道を歩き、600年前に積まれた石にふれ、かつて特殊部隊員たちが逃げた場所に立ち、王や大統領の目線でソウルを眺めてみてください。そして下山したらサムゲタンやマッコリを味わい、食べもの、飲みもの、そして山を登りきった満足感とともに、韓国流に山歩きを締めくくりましょう。

銃眼のある城壁に沿って下る石段と街灯。松の枝の向こうに、Nソウルタワーの立つ山とソウルの街並みが広がる

韓国の山の文化をもっと知りたくなりましたか?北岳山での体験や、お気に入りの下山後の食事を、下のコメント欄でぜひ教えてください。

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