韓国海苔キムの種類と栄養|日本の海苔との違いまで解説

韓国料理を口にしたことがあれば、韓国海苔にはきっと出会っているはずです。キンパ(김밥)に巻かれ、副菜として食卓に並び、やめられないおやつにもなる、あの香ばしくてパリッとした一枚です。では韓国海苔とはそもそも何なのでしょうか。そして韓国で古くから食べられてきたこの食材は、どうして世界的なスーパーフードとして注目されるようになったのでしょうか。

キム(김、韓国の海苔)は、韓国料理で使うために乾かした食用の海藻をまとめて指す言葉で、そこにはPyropia属とPorphyra属のさまざまな種が含まれます。ご飯を巻くためだけのものではありません。韓国の沿岸で何世紀にもわたって受け継がれてきた食の伝統そのものであり、その栄養の豊かさは現代の科学がいまも確かめつづけています。
この記事では、韓国海苔について知っておきたいことを順に見ていきます。興味深い歴史から種類の違い、目をみはるような栄養面の強み、そして数えきれないほどある料理での使い道までを取り上げます。
目次
- 韓国海苔キムとは
- 韓国における海苔の歴史
- 韓国海苔と日本の海苔は何が違うのか
- 韓国海苔キムの種類
- キムの健康効果
- 韓国海苔の使い方と保存
- 質のよいキムをどこで買うか
韓国海苔キムとは

キムとは、朝鮮半島の岩の多い海岸に育つ紅藻の一種、つまり日本語でいう海苔を指す韓国語です。韓国海苔キムの食材ガイド(英語)でもくわしく取り上げています。韓国で食用の海藻に触れた最も古い記録は『三国遺事』(1280年代)にあり、新羅時代の人々がキムを嫁入り道具の一つとして用いていたと記されています。
作り方は紙漉きによく似ています。とれたての海藻を細かく刻み、簀の上に薄く広げ、紙のような一枚に乾かします。韓国での海苔の養殖について(英語)にあるとおり、韓国でいちばん多く養殖されているのはP. yezoensisで、次いでP. teneraです。いずれも朝鮮半島の南部を囲む海にだけ育つ海藻です。

キムを韓国ならではのものにしているのは、焼く工程です。ほかの海藻製品と違って、キムはたいてい火を通してパリッとした食感に仕上げ、韓国のごま油(英語)やエゴマ油を塗って、塩をひとつまみふります。そうすることで、ほのかな香ばしさとともに、後を引くうま味が生まれます。
韓国における海苔の歴史
韓国における海苔の養殖の歴史には、言い伝えと記録の両方が残っています。伝説によれば、キムという名は人名のキム・ヨイク(1606年〜1660年)に由来します。キム・ヨイクは、仁祖(1623年〜1649年)の治世に、テイン島で海苔のついたカシの枝が流れ着いたのを見て、はじめて海苔を育てた人物とされています。

体系的な養殖が始まる前のキムは、育てたものではなく、岩や流木から採ったものだったと考えられています。記録は、キムが韓国社会でどれほど重んじられていたかを伝えています。朝鮮王朝(英語)の実録は、キムを忠清・慶尚・全羅の各道を代表する産物として挙げています。東の海岸の民は、王への献上品としてキムを作って納めることを課されていました。宣祖は、その苦労をやわらげるようにという進言を受けています。
養殖はその後も南部の沿岸一帯へと広がっていきました。竹やカシの枝を使う初期のやり方は、19世紀に生まれた網を使う方法へと置き換わっていきます。大量生産のための浮き筏が使われるようになったのは1920年代からです。
今日、海苔づくりは韓国の主要な産業のひとつです。韓国海苔は年間およそ19,500トン作られていますが、自然に育つものだけでは市場の求める量に届かないため、その多くは商業的に養殖されています。
韓国海苔と日本の海苔は何が違うのか
キムと日本の海苔は同じものですか

短く答えるなら、キムと日本の海苔はよく似ていますが、同じものではありません。この違いは、韓国海苔についていちばんよく聞かれることのひとつです。
キムも日本の海苔も、指しているのは同じ海藻です。同じ種類の海藻を、日本語では「のり」と呼びます。日本の海苔とはどんな食材か(英語)もそう説明しています。売り場では、韓国から来たものは「キム」、日本のものは「のり」と表示されているのがふつうでしょう。

ただし、はっきりした違いもあります。
作り方:韓国のキムは、生の海藻をていねいに細かく刻んでから一枚の形に整えて乾かします。だからこそ、噛んだときに小気味よい歯ざわりが残ります。日本の海苔は細かく刻んだうえで液状になるまですりつぶし、それを薄く広げて漉く工程で乾かします。舌の上でほどけていくような、きわめて薄い一枚になるのはこのためです。
味と味つけ:キムが日本の海苔と異なるのは、ごま油と塩で味をつけるところです。ごま油をまとった韓国のキムは味わいがはっきりしていて、パリッとした心地よい歯ごたえがあります。いっぽう日本の海苔は味つけを控えめにして、海藻そのもののうま味を前に出します。紙のように薄い一枚が、口の中ですっとほどけていきます。
厚みと食感:韓国の海苔は日本の海苔よりやや薄く、つやがあります。ただしキンパに使う一枚は例外で、いろいろな具を巻いても形が崩れないよう、寿司用の海苔より厚めに作られます。
どちらも栄養があっておいしい海藻です。どちらを選ぶかは、多くの場合、好みと作りたい料理しだいです。
韓国海苔キムの種類
キムといっても、すべてが同じではありません。韓国ではいくつもの種類が作られていて、それぞれに違った持ち味があります。
1. チェレギム(재래김)

チェレギム(재래김、とても薄い定番の韓国海苔)は、チョソンギムとも呼ばれる韓国独特の海苔で、薄く漉かれています。光にかざすと、薄い茶色と緑がまじって見えます。大きさはキンパ用のものより大きく、7.5インチ×10.5インチほどです。韓国の家庭でいちばんよく食べられている種類で、海外の売り場で焼いた海苔のおやつとして並んでいるのも、たいていこの種類です。
2. トルギム(돌김)

トルギム(돌김、岩に生える韓国海苔)は「岩の海苔」という意味で、その名のとおり岩に育ちます。トルギムは表面がざらりとしていて少し厚みがあり、そのぶん味が濃いという人もいれば、ざらつく舌ざわりを好まない人もいます。
3. パレギム(파래김)

パレギム(파래김、アオサを混ぜて漉いた韓国海苔)は、乾かすときにアオサ(Ulva intestinalis)を海苔に混ぜ込んだものです。そのぶん色は緑がかり、アオサの風味が重なります。青草を思わせる独特の香りがあり、舌ざわりはなめらかです。
4. キンパキム(김밥김)

キンパキム(김밥김、キンパを巻くための韓国海苔)は、その名のとおり韓国式の海苔巻きに使う一枚で、巻きすに合うように厚めで小ぶりに作られ、大きさはおよそ7.5インチ×8.5インチです。光にかざすと真っ黒で、すきまなく詰まって見えます。基本的には、寿司に使う日本の海苔と同じ、乾かした海苔だと考えてよいでしょう。
5. コプチャンギム(곱창김)



コプチャンギム(곱창김、その年の初摘みでちぢれた韓国海苔)は、その年で最初に収穫した海苔からつくられ、味が濃く、厚みがあってちぢれた形をしているといわれます。
番外:カムテギム

カムテギム(西海岸のとりわけ澄んだ海で育つ特別な韓国海苔)は、管理された環境のもとで育てられます。褐藻の一種で、乾かすと草のように見えます。紙のように薄く編んだ草の敷物を思わせる舌ざわりで、味わいもふつうのキムとは違い、ずっとみずみずしく青草のような香りが立ちます。カムテギムは、アメリカやベルギーのミシュランの星付きレストランでも使われています。
韓国海苔の健康効果と、スーパーフードと呼ばれる理由
韓国海苔は体によいのですか
もちろん、キムは栄養の宝庫と考えられていて、スーパーフードという位置づけは科学にも裏づけられています。
必須栄養素が豊富
韓国海苔にはたんぱく質、チアミン、リボフラビン、ビタミンA、B6、B12が含まれ、栄養価のとても高い食品です。ヨウ素や鉄といったミネラル分、必須アミノ酸も豊富に含みます。
海苔は食事からヨウ素をとる供給源として最も優れていて、甲状腺のはたらきを助けます。鉄とたんぱく質も豊富です。ビタミンA、B2、C、Dといったビタミン類やミネラルのほか、細胞を傷から守る抗酸化物質も多く含みます。海苔は、一日に必要なカリウムの22%をまかないます。海藻のビタミンAは卵の67倍、ビタミンCはオレンジの1.5倍にのぼります。

甲状腺のはたらきを支える
海藻に含まれるチロシンというアミノ酸は、ヨウ素とともに、甲状腺が正しくはたらくために欠かせない二つのホルモンをつくる材料になります。甲状腺は代謝やエネルギー、体のさまざまなはたらきを調節しているため、キムはその面でとくに価値のある食品だといえます。
低カロリーで栄養価が高い
体重が気になる人にとって、キムは理想的なおやつです。ふだん食べるくらいの量でもしっかり栄養がとれるのに、カロリーはとても低く抑えられます。健康に気を配る人が、ポテトチップスなどの加工されたおやつの代わりを探すときにも、キムは賢い選択肢になります。
抗酸化のはたらき
キムには、細胞を傷から守るはたらきをする抗酸化物質が多く含まれています。こうした成分は酸化ストレスに対抗し、細胞全体の健康と長寿に寄与する可能性があります。
食べるときに気をつけたいこと
キムはとても栄養に富んでいますが、ほどよい量にとどめることが大切です。ナトリウムとヨウ素を多く含むためです。ヨウ素をとりすぎると甲状腺の健康を損なうことがあり、成人の耐容上限量は1,100マイクログラムとされています。
また、海藻にはカドミウム、水銀、鉛といった有害な重金属が含まれていることがあります。リスクを小さくするには、信頼できるところで作られた有機のキムを選び、いろいろな食品と組み合わせて食べるようにしてください。
韓国海苔の使い方と保存
韓国の人はキムをどう食べていますか
キムは使い道が広く、韓国料理に欠かせない食材になっています。

副菜として:パンチャン(반찬、韓国の副菜)にして食べるときは、乾いた韓国海苔にごま油かエゴマ油を塗って火にあて、細かい塩をふって四角く切ります。ご飯やほかのおかずと並んで、韓国のほとんどの食事に登場します。パンチャンそのものについては韓国の副菜パンチャンのガイド(英語)と代表的なパンチャン15種(英語)でくわしく取り上げています。


キンパに:キンパを作るときは、海苔を焼かず、乾いたままの状態で使います。味をつけたご飯や野菜、ときには肉や魚を一緒に巻いて、持ち運びのきくおいしい海苔巻きに仕上げます。作り方はきゅうりのキンパのレシピ(英語)にもあります。韓国の伝統的な料理でキムがどう使われているかは、食材としての韓国海苔(英語)でくわしく解説しています。

おやつとして:キムは韓国の食堂でもよく出る副菜であり、ポテトチップスの代わりになることもあります。ほどよくパリッとしていて、おいしく、しかも体によい食べものです。

あしらいとして:手でちぎったり細く刻んだりしたキムは、スープや鍋、丼もの、麺類に彩りと食感、うま味を添えます。

特別な料理に:キムを揚げて、プガク(부각、衣をつけて揚げた韓国のおかず)にすることもあります。
パリパリのまま保存するにはどうすればよいですか
韓国海苔はそのつど食べるぶんだけ取り出し、残りは密閉できる容器に入れて、日の当たらない涼しく乾いた場所に置いてください。海苔を長いあいだ空気にさらすのは避けたいからです。長く保存するなら冷凍庫に入れます。
保存容器には、袋入りのキムによく入っているシリカゲルの乾燥剤を一緒に入れておくとよいでしょう。そうすると、パリッとした食感がいちばん長もちします。
家庭で焼き直すことはできますか
家庭でも焼き直せます。大きめのフライパンを強めの中火から強火にかけ、煙が立つまで熱します。油などを塗った面を下にしてキムを置くと、焼けると同時にすっと縮みます。色は少し緑がかってきます。3秒たったら裏返し、反対の面も焼きます。韓国海苔一枚あたり、全部でおよそ10秒あれば終わります。
買うときは何を見ればよいですか
キムを買うときは、赤みがかって見えないものを選びます。赤みは、保存の状態がよくなかったか、時間がたちすぎているしるしだからです。キンパキムは黒く、チェレギムは全体に茶色がかっていて緑の斑が見えるのがよい状態です。いずれの場合も、赤みが差しているものは避けます。

人気のブランド

- Daechunの海苔、Wang Korean Roasted Seaweed、NongHyup Roasted Sesame Oil Laver Seaweedはいずれもよい選択肢です。
- Kwangcheongimは1970年の創業以来、いちばんおいしい海苔を作ることだけに取り組んできた会社で、最大かつ最も先進的な海苔の生産設備を備えています。

買える場所
- 韓国系の食料品店
- アジア食材を扱うスーパー
- オンラインショップ(Amazon、Weee!、韓国食材の専門サイトなど)。Weee!はアメリカ向けの通販です。日本では韓国食材店や、韓国食品を扱う国内の通販でも手に入ります。
- 自然食品の専門店
オンラインで買うときは、賞味期限を確かめ、レビューを読んで鮮度と質を見きわめてください。
台所に韓国海苔を常備したい理由
海辺の岩から採っていた素朴な始まりから、世界に知られるスーパーフードへ。キムは、飾らず栄養があってとびきりおいしいという、韓国の食の伝統のいちばんよいところを体現しています。家でキンパを作るときも、体によいおやつを探しているときも、食事にもう少し栄養を足したいだけのときも、韓国海苔はすぐれた選択になります。

韓国のキム、つまり海苔は、体によいだけでなくとてもおいしいスーパーフードのひとつです。ご飯に巻いても、料理のあしらいにしても、おやつとしてつまんでも、韓国の食を知るうえで欠かせない一品です。

今度、韓国料理に触れる機会があれば、あの香ばしくてパリッとした薄い一枚に目を向けてみてください。ただの包み紙でも、ただのあしらいでもありません。何世紀にもわたる韓国の沿岸の文化とつながっていて、現代の科学がいまも高く評価している、栄養の塊です。
韓国海苔のおいしい世界を味わってみませんか。まずは焼いたキムのおやつの袋をひとつ開けてみてください。韓国の人たちが千年以上にわたってこの海の恵みを大切にしてきた理由が、きっとわかります。キムを食べたことはありますか。韓国海苔のいちばん好きな食べ方があれば、下のコメント欄で教えてください。
K-trendの関連記事:韓国の海苔の産地をたどる記事(英語)。
関連レシピ:揚げた海苔のチップス、キムブガクのレシピ(英語)。



